OBD車検とは?
そもそもOBDとは「On-Board Diagnostics」という言葉の略で、日本語では「車載式故障診断装置」と訳されています。従来の車検では、部品の損傷やオイル漏れなどを目視・計測器によりチェックし、車両が公道を安全に走行できる状態か 確認していました。これに対してOBD車検の対象は電子機器のみです。車両に搭載されたコンピューターで制御される装置の状態を監視したり、故障の有無を自己診断する装置のことです。車載式故障診断装置を法定スキャンツール(外部故障診断機)で読み取ることで、車両の故障状態や内容を確認できます。
OBD車検の検査方法
電子機器の不具合は目で見えないため、スキャンツールという装置を使って検査します。 車検証に記載されたQRコードを読み込み、車両のコネクターにスキャンツールを接続すると不具合が発生している場所や原因をコンピューターを通して特定できます。 また車に搭載されたコンピューターによる診断結果が、法定スキャンツールを使って内容を確認できるため、過去の故障データまで確認可能です。 万が一不具合が検出されると、運転支援システムが正常に動作しないおそれがあると判断され、車検は不合格となります。
OBD車検の検査項目
OBD車検の対象となるのは、以下の項目です。
排出ガス等発散防止装置 |
■道路運送車両の保安基準が定める装置 排出ガス関係装置に不具合がないかを検査します。 この装置に不具合がある場合、排出ガスが基準濃度を超える可能性があるため、車検は不合格となってしまいます。 |
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運転支援技術 |
運転支援技術には以下のようなシステムが含まれます。 ■アンチロックブレーキシステム(ABS) ■横滑り防止装置(ESC/EVSC) ■自動ブレーキ(AEB/AEBS) ■ブレーキアシストシステム(BAS) ■車両接近通報装置 これらはおもにブレーキを電子制御するシステムです。 不具合が発見された場合、ブレーキ操作時にタイヤがロックして制御不能な状態に陥ってしまったり、 急ブレーキが誤作動したりして非常に危険なため、車検は不合格と判定されます。 |
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自動運転技術 |
■UN/ACSFで審議し、UN規則が成立している自動運転技術 ■Category A、B1、C ■緊急操舵技術(ESF) これらは、ドライバーのハンドル操作を支援することで運転の負担を軽減したり、 緊急時の回避操作をサポートしてくれるシステムです。 ハンドルを自動で操作してくれる仕組みのため、 不具合があった場合は重大な事故に繋がる可能性があると判断し、車検は不合格となります。 |
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将来的に対象となる可能性がある項目 |
現時点ではOBD車検の対象ではありませんが、以下のシステムは将来的に対象となる可能性があると発表されています。 ■車線逸脱警報装置(LDWS) ■オートライトシステム ■先進ライト(自動切替型、自動防眩型、配光可変型等の前照灯) ■ふらつき注意喚起装置 ■視界情報提供装置(バック/サイドカメラ、アラウンドビュー等) ■車両周辺障害物注意喚起装置(周辺ソナー) ■運転者異常時対応システム オートライトシステムやバックカメラなど、今では多くの車に装備されているシステムもあげられています。 現時点では対象外の車両も、今後はOBD車検の対象となる可能性があります。 |
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OBD車検の対象車
乗用車は、2021年以降の新型車(輸入車の場合は2022年以降)がOBD車検の対象となります。
2024年10月1日より検査開始となります。(輸入車の場合は2025年10月)以降の予定。
OBD車検の費用
国に支払う費用
OBD車検の導入にともない、車検時の印紙代に400円が追加されます。
これにより、軽自動車は1,100円から1,600円、普通・小型自動車は1,200円から1,600円に印紙代が値上げとなります。
尚、値上げはOBD車検対象外の車にも適用されますので注意が必要です。
OBD車検の導入により全体の交通事故が減少すると期待されており、 対象外の車にも平等に費用を負担させるという考え方に基づいています。
OBD検査の費用
検査対象車両は、専用のスキャンツールを使用して点検をすることが必要になります。
そのためOBD検査対象車は別途OBD検査料として3,300円(税込)の費用がかかります。